今週は英語の家庭教師Eが来る週だった。
前回予定した通り、現在完了形を教えてもらう。教材は文法の問題集をEがコピーしたものだ。もともとの問題集がその年齢を主に対象にしたものかはわからない。何となく12、13歳から高校生くらいまでの間のように思うがそれは自分が中学か高校で習ったからというだけのことに過ぎないかもしれない。
内容はだいたいその頃習ったのと同じだがそれでも目新しい点はいくつかあった。
例えば、sinceの使い方の説明に
"When the action in the time clause began in the past but continues into the present, use the present perfect"とあり、その用例として、
"She has become extremely successful since she has been in Switzerland.
(She still lives in Switzerland)"
という文章が挙がっている。
最近読み返している『日本人の英語』、『続 日本人の英語』、『心にとどく英語』、『英語の壁』の中で著者のマーク・ピーターセンは英語の数意識の厳密さと共に時制に対する意識の厳密さについても繰り返し述べている。それに従えばこの説明と用例は別に不思議なことではないし、逆に学校英語や受験英語でこういうsinceを使った用例を全く見たことがないということの方が不思議だが、「三つ子の魂百まで」というのか学校英語が頭に染み付いているせいで何となく釈然としない気もする。
出題された例文の一つにマルティナ・ヒンギスのテニス人生(半生?)について書かれた文章がある。
" Martine Hingis picked up her first tennis racket at the age of two. Since then, she has become one of the greatest tennis players in the world. Born in Slovakia, she has lived in Switzerland for many years. She became the outdoor Swiss champion at age nine. Since then she has won many international competitions including Winbledon, the U.S. Open, and the Australian Open.
For young stars like Martina, life has its difficulties. They are under constant pressure to win, and they don't have time to just hang out with classmates. In fact, Maritina hasn't attended school since 1994, and she has been in the public spotlight for years. But she seems to be handling her success well. Since she turned professional, she has played tennis all over the world and has earned millions of dollars. She sees he life as normal because tennis has been the most important thing to her since she was a little girl"
(これを読んで「ああ。『アメリカ』らしいな」というか、日本の問題集でもし同じ題材を取り扱ったとしてもこういう例文にはならないな、という気がしたが、どこがどうだからそう感じるのかはよくわからない。「ここがああだからそう思うんじゃないか」と具体的にわかった方は教えてください。)
この例文の中で、現在完了の動詞とsinceとforを伴って時間を表している部分に例に従って印を付けるのがまずやること。この例文に関してはもう一つ出題されていて、指定された語句を用い、例文に従って疑問文とそれに対する返事の文章を作成しなさい、とのこと。
例文はこうなっている。
1. (How long / she / play tennis?)
Q: How long has she played tennis?
A: Since she was two.
その後問題は、
2. (How long / she / live in Switzerland?)
3. (she / win any competitions / since the outdoor Swiss championship?)
4. (she / attend school / since 1994?)
5. (How much money / she / earn / since she began her career?)
6. (How long / tennis / be important to her?)
と続く。
"How long...?"という質問には"for two years"とか"for 6 hours"とかforを使った表現で答るべき、とこれまで思っていたのだが、1、6はHow longにsinceで答える形になっている。
sinceといえばその状態が始まった「時点」を表すのだとばかり思っていたが、どうやら「期間」(現在完了の場合は「(或る時間の起点から始まり現在に至るまでの)期間」)も表すらしい。
問題集を終えた後、自分の身近で起こっていることで例文を作りましょう、ということになった。
"How about your husband's absence? How long has he been in Mexico?"
と言うので、
"My husband has gone to Mexico for 4 days"
(注:夫はその後出張から無事に帰ってきました)
と答えたら、それは正しくないと言う。
"It should be 'He has been gone to Mexico for 4 days'"
なのだそうだ。
本当に"has/have BEEN GONE"なの?と何度か念を押してみたが、Eによれば"has/have GONE"ではなく"has/have BEEN GONE"なのは確からしい。
私、学校では"has/have GONE"しか習わなかったなあ。
「だいいち、なんで"been gone" (<"be gone"=受動態)なわけ?」と思い、そう聞こうとして、「そういえば"The sun has gone"と言う代わりに"The sun is gone"ということもできる、というのは学校で習ったな」と思い出した。
"The sun is gone"も私にとっては不思議な表現で、前からいつからどういう風にそういう表現が生まれたのか疑問には思っていた。それをEに尋ねてみたいのはやまやまだったが、質問をうまくまとめられそうにない。
そもそも受動態という切り口からうまく質問ができそうにもなかったので、
"'Has been gone' feels strange to me. It looks a double verb"
と言うと、Eは、
"Yes. It seems to have three verbs"
(注:私は助動詞haveをあくまで動詞とは別物として2個と数え、彼女はhaveも含めて3個と言った。Eが3個と捉えたのはhaveが動詞としても使う単語だからなのか、助動詞全般を動詞の一種として考える感覚が強いからなのかは不明。ちなみに「助動詞」は英語でhelping verb。)
と言って、何かうまい説明の仕方はないものかとしばらく「うーん」と考え込んでいたが、
"Sorry. I can't explain why. 'HAS GONE', It's...it just doen't look correct to me. I don't know how to explain to you"
というわけで私の疑問はいったん(無期限の)保留となった。