1/6/2006: エレン・デジュネレス

追記（1/7/2006、1/8/2006）:
1月6日の日記で、セクシャリティに関する言葉に曖昧または不正確なものがあったので訂正した。6日の時点では曖昧または不正確でも自分が知っている範囲で書けばいいやと思ったのだが、数日前に観た映画"Kinsey"（邦題:『愛に関するキンゼイ・レポート』）が何となくずっと頭の隅にひっかかっており、結局、こういう分野に疎いなりに、簡単に調べられる範囲で調べて訂正することにした。

愛についてのキンゼイ・レポート
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ところでジェンダーという概念の中でセクシャリティはどういう位置づけなのだろう？（また、その逆は？）
＜追記部分終わり＞

Ellen DeGeneresについて調べる。
主演映画もあるくらいなので本格的に女優活動もしているのだろうが、おそらくコメディアン（？）が本業のはずである。彼女がホストを勤めるNBCの朝のトーク番組をたまに観ることがあるし、HBOでも一昨年だったか去年だったか一時期、彼女のライブを放映していた。
しかし、彼女のことに特に興味を持ったのは先日、"The Laramie Project"という映画を観てからだ。実際に起こった殺人事件を題材としたこの映画では、所々に実際のニュース映像が挿入されている。その中に、被害者の追悼集会で彼女が悼辞を述べる部分の映像もあった。その時の彼女の話し方を含めた佇まいというか、内に怒りを秘めた様子がとても真摯で印象に残った。

もう少し彼女の人と成りを知りたいと思い、事件に対する彼女の考えの全体を知ることが出来ればかなりそれがわかってくるのではないかと考えたが、映画で使われている彼女の映像はほんの少しだし、映画に必要なところ（つまり映画が伝える何かを伝えるのに都合のいい部分）しか使われていない。
また、彼女はマスメディアに登場する時はコメディアンとか女優という「仕事」の範囲内でしか登場しない。ちなみに事件について語ることには彼女自身のセクシャリティ（以下、ここでは主に性的指向＋性自認という意味で使用。私は彼女のそれがどういう分類になるのか知らない）が関わってくる。彼女がヘテロセクシャルでない（少なくともヘテロセクシャルでなかった）という事情から、世間ではその発言に彼女のセクシャリティが反映されていると見る人が多いだろう。テレビの中で今の彼女が自分のセクシャリティについて直接的にせよ間接的にせよ触れることはもちろんないし、垣間見せることもない。（トーク番組の観客にそれを感じたことはあるが、これは私の先入観に過ぎないような気がする。）ちなみに、以前たまたま見かけたArts&Entertainment(A&E)というチャンネルの「テレビ界の同性愛に対する態度についてこれまでの動向を総括する」趣旨の番組で、彼女がそのセクシャリティをカムアウトした後、しばらくテレビ各局から干されていたということについて触れられていた。（この番組で彼女が取り上げられたということで、彼女のセクシュアリティが「レズビアン」ではないかという推測はできる。）

どういう人なのかもう少し知りたいと思ったのでネットで調べることにした。日本での彼女の評判にも興味があったので日本語で検索してみる。
まず、そもそも彼女の名前の読み方がわからない。（何度テレビで聞いても聞き取れなかったのだ。）調べてみると、エレン・デジュネレスか、少なくともそれに近い発音ではあるらしい。日本では専ら「アン・ヘッシュの元恋人」として有名（だった）。日本語ではそれ以外のことはほとんどわからないが、『ファインディング・ニモ』のドリー役と言えば声だけでも思い当たる人がいるのではないかと思う。

そう言えばドリーはそのキャラクター設定自体、性別を含めたセクシャリティが意図的に明確にされていないように見えた。名前からすると性別は女性っぽいけど。でも名前はあまり当てにならない。ただ、これも所詮、私にとっては性別以外のセクシャリティが不明確なエレン・デジュネレスが演じているという先入観に過ぎないのかもしれない。また『ファインディング・ニモ』を観る機会があったら、先入観以外にどういうところでドリーのセクシャリティを不明確と感じたのか確認してみたい。
それを不明確と感じるのは、声優の声そのものや演技が、単に私が無意識に持っている「男らしさ」「女らしさ」という枠に当てはまらないからに過ぎず、名前も「ドリー」なんだし、性別も性的自認も性的指向も普通に「女性」でいいのではないのかとも思う。でも、私のエレン・デジュネレスに対する「先入観」を除いても、映画の終わりの方でドリーがニモの父親マーリンに見せる感情は、それまでの2人（2匹？2尾？）の関係の流れから見ると少し唐突に見える。それが友情なら別に不思議はないのだけれど、その時ドリーが恥らいつつ見せたのは「友達以上、恋人未満」みたいな感情なのだ。それでも友達以上なのはまあいいとしても何故恋人未満なのかが分からない。マーリンがドリーのことを友人としてしか見てないからだろうかとも思うのだが、実際にはマーリンの気持ちに関係なくドリー自身の気持ちがそうであるように見える。もしドリーが性別も性的自認も性的指向も女性なのだとしたらそう見えるのはなぜなのか。単に「男」「女」関係だとしたらあの映画のあのストーリーの中でこの2人の関係をそこまで微妙、複雑に描く必要はないわけだし。

さて、エレン・デジュネレスについてあともう一つわかったのは、彼女が1977年の『オー！ゴッド』（原題:"Oh, God!"）という映画のリメイクで神を演じるということ。
FLiXムービーサイト:「エレン・デジュネレス、神に扮する」
この"Oh, God!"という映画、テレビで観たことがあるが面白かった。宗教の話が嫌いな人は全くだめだと思うが、そうでない人には楽しめそう。コメディだが意外に大事なことが含まれている映画でもある。「大事なこと」というのは人が生きていく姿勢とかそういうことだが、それでいて全然説教臭くないのがいい。だって神様がアレなんだもの。何をどう伝えるかよく考えられた映画。（「神様がエレン・デジュネレスみたいだったら面白いかも」という気持ちはわかるが、アレを見てしまうと、映画全体としてオリジナルを超えるのはかなり難しそうだ。）
DVD欲しいなあ。買おうかな。
あれ？DVDなんか買うつもりじゃなかったのに!!